2022年5月25日 d-column

ゴージャスにも程がある。想像を超えたデザイン。

【Column】キッチンの主役になるブツ。これはいったい何だ!?

仕事でレンジフードについて取材をしたのだが、自分が知っている知識とは違うところでいろいろな訴求があり、強く刺激を受けた。

「クックフードル」

というシリーズ名。デザインに強くこだわった、それ以上に性能も併せ持つレンジフード。

わたしは和食レストランで10年ほど飲食店従事の経験がある。焼き鳥の焼き台とガスコンロ4口に中型のフライヤーがあるキッチンでの調理作業は楽しいものであった。カウンター越しに間近で焼き鳥の調理工程が見られるレイアウトであったが、ダクトのスイッチを入れると客席と近い位置でもキッチンの中と客席で会話をするのはなかなか難しい感じになる。それだけレンジフードに空気が吸い込まれるということだろう。

飲食業においては厨房で重要なポジションを持つレンジフード。火を使う場所のセーフティアイテムだから当然であろう。飲食店の厨房はレンジフード、ダクトできちんと吸排気、換気をしないと成り立たない。

ガスコンロ、フライヤー、ロースターに炊飯器。大型業務用厨房機器は大きな熱が出るものが多い。キッチンの温度コントロールは生鮮品を扱ったりコックたちの仕事環境などにダイレクトに影響する。

熱を抜かない厨房は灼熱地獄だ。また調理で発生する油の細かい粒子や匂いがホールに出てしまうと油のベトつきなどが店中に滞留してしまう。空気の流れを制御することは必須なのである。そんな経験をしたこともあって取材先担当者との会話も楽しいものだった。

セールスとユーザー、立場は違えど同じジャンルのプロフェッショナル同士の会話で噛み合うところが多くあり、疑問点なども打てば響く感じで戻るので気持ちのいいインタビューだった。

わたしが使っていたものはプロ機材ということで規模や性能がまた違った基準となるのだが、家庭におけるレンジフード、ダクトの役割と性能は興味深かった。家庭のキッチンに通づるところも多くある。

アイランドキッチンの流行やパーティー調理的な対面キッチンはもう新築住宅の定番となった感がある。キッチンがキッチンだけが分離していて「お母さんはどこ?」「台所にいるよ」という懐かしい磯家的な会話はもうノスタルジー、過去のものなのだ。

そんな現代のレンジフードにはいろいろな課題が課せられる。

まずは性能。調理をしたときに熱、におい、油などがキッチンと一体化しているリビングに流れてしまうのはまずかろう。そういう環境で空気の流れを制御するのがレンジフードということになる。

昔は小さな換気扇一つで行けたところだが、そうはいかない。大切なリビングのインテリアが油まみれというわけにはいかないのだ。広い範囲をカバーする高性能を求められる。

デザインも大事なファクターとなる。

普段は意識しないと思うが、意外や存在感が大きいのがレンジフード。現在主流のアイランドキッチンや対面タイプのものではリビングの真ん中に大きなレンジフードが下がることになる。

せっかくのインテリアが台無しにならぬよう、慎重に考えねばならないのだ。

数種のバリエーションとデザイン、サイズ等のオートクチュール可能なレンジフードが「クックフードル」だ。性能は極めて高く、そして美しい。

「ナイトフォール」は壁面天井部に取り付けるスタンダードなタイプだが質感の追求と素材へのこだわりが強く、その精密感から男性に好まれそうだという印象を持った。

硬質な輝きを持つブラックステンレスの外装は塗装では表現できない素材感。

繊細な折り曲げ技術や溶接の美しさなどレンジフードとしては異例のこだわりと性能を有している。

趣味のガレージなどにもフィットしそうなデザインだ。フィルターのメッシュは美しい5重構造でメッシュ自体を波打たせ油詰まりを防ぐ機能を持たせてある。機能と美しさの融合に心惹かれた。

「ストラトスフィア」はセミオーダーが可能なセンターレイアウト、アイランドキッチなどによく合うプロダクト。部屋との一体感を突き詰められる。

天井から無愛想に吊り下げられるステンレスの四角いレンジフードのイメージを一新、性能に加えデザインの付加価値が高い。

オーダーメイドでキッチンカウンターや壁などと素材、カラーなどトータルコーディネートができる。基本となるユニットは端正なデザインと高性能を有し、それを囲む天板で表情や個性を作り出し、キッチンにパーフェクトフィット。部屋に溶け込み、融合する心地よさがある。

「キューブデコ」は圧巻であった。ストラトスフィアに同じくする考え方なのだが、アプローチが違う。キッチンとリビングと一体化している空間に、レンジフードを中心として部屋のデザイン演出をするというまったく新しい考え方、発想転換。

ストラトスフィアの部屋との融合とは違う、フード自体の個性でその空間の個性を作り上げてしまう強さがある。もはやレンジフードがアートピースとしての価値観、存在感を持ってしまうという凄みと面白さを感じた。浮遊するアートピース、空中に固定されたアート作品という様。

これもダクトユニットは高性能なコアを使用、そのコアを大胆なデザインで魅せてゆく。フルオーダーは伊達ではない。

施工主が細部までデザインと機能にこだわって作り上げたキッチンに、なぜありきたりのレンジフードをとりつけねばならないのか。機能も一流なのだからとデザインを我慢するのはナンセンスだ。そんな問いかけが製品から聞こえてくるようなラインアップである。

料理と向き合う時間、家族と、仲間との大切な時間。その質を高めるというアプローチの「クックフードル」シリーズ。

「食は味だけではなく全体を通しての体験」と考える、食に関わる仕事のわたしのスタイルともリンクするところが大きく、強く納得ができた。

クックフードル https://www.cookhoodle.com/support-2.html
小林木工 https://www.kobayashi-woodwork.co.jp