どうもなにかあると山梨県に足が向いてしまう。どうにも国道20号線の道のリズムが好きなのだ。道にはそれぞれのリズムがあるな、と思っている。
そんな国道20号線をクルマで新宿から辿ってゆき、甲府に向かうことが多い。富士山方面も捨てがたい。風来坊気質があるわたしは特に行き先を決めず、甲州街道を下道でトコトコと走り、大月あたりで行き先に迷う。さて、甲州に向かうか、それとも富士山方面か。奥多摩方面の峠にもぐるか。その分かれ道である大月市だが、その大月市こそ忘れてはいけない、目的地にしてもいい場所であることに最近気がついた。
大月?何かあったかしら?そんな声も聞こえるが、それは見識不足。
大月、意外と見所があるのである。

20号線は笹子川と中央本線、それらと並行するように走っている。
中央線大月駅と笹子駅の間に真木(まぎ)という地域がある。温泉や山荘がポツリとあり、雁ヶ腹摺山という山への登山口がある場所だ。登山口手前の駐車場から小一時間で登れる手軽な山なのだが(それなりの装備はちゃんとしたい)実はここからの富士山の眺め、懐かしい旧500円札のあの富士山はここからの眺めがモデルなのだとか。素晴らしい富士山を眺めることができる。
毎年秋には森の中にマーケットが立つ。 「真木アート・クラフト市」
手作りの工芸品や陶器、絵、アート作品などクラフトマーケットとなっており、料理や飲み物の屋台もでる。とても楽しい催しだ。わたしも一度お邪魔をしたが、なぜこんな山の中にこんなにも賑わいが、と大変驚いた。諸事情で2022年秋の開催は中止となったがまたの開催が切望されている。
そのクラフトマーケットを楽しんだのち、もう少し車で標高を稼いでみるかと山道を登ったら道の横に沿って素晴らしい雰囲気の川と森が幾度となく見えた。クルマを停めて川のそばでマーケットで買った料理を食べてみた。大変に気分の良い時間となった。以来お気に入りの場所になっている。

大月駅の3つ手前、染川駅から歩いてわずか10分で行ける
「月尾根自然の森キャンプ場」もお気に入り。
素朴でコンパクトなキャンプ場で何があるという場所ではないが、その「何があるというのではない」というところがお気に入りの理由だ。クルマで直接入れるサイトもあって便利。デイキャンプでお茶だけ沸かす道具を持って半日過ごす、などいう優雅な使い方もできる。

カフェもおすすめできる素敵な店がある。
国道20号を大月で折れて富士吉田に向かう国道139号線。富士急行大月線と並行しており、富士急の禾生駅(かせいえき)に差し掛かるあたり。細い路地に「九鬼山」という看板。その路地の奥に登山道の入り口がある。そこに見えるのがレンガでできた魅力的な古い橋。実は橋といっても水道橋であった。
「駒橋発電所落合水路橋」と呼ばれており、明治40年からここにある。が、驚いたことにこの登録有形文化財の水路橋、現役である。1秒当に約25立方メートルの水を大月市の駒橋発電所へ送っている大切なインフラなのだ。

そんな雰囲気ある水道橋を眺められるのが「カフェ 織水」。
渋い建物でちょっと見倉庫や工場風。店内は驚きの洒落たリノベーションが施された気持ちのいい空間。しっかりおいしいコーヒーとヴィーガン対応料理や焼き菓子などもメニューに載る。店のリノベーションはご店主自ら手を動かしたそうで見どころが多い。のんびりと腰を落ち着けてリラックスできる静かなカフェであった。
富士山への曲がり角、甲府へ行く途中の町、とかくそんなふうに言われてしまう大月だが、それは勿体無い。見どころも楽しみ方もたくさんある、わたしのお気に入りの町なのだ。
参考URL
月尾根自然の森キャンプ場 ひとりで山の中でお茶を入れる話し。
https://hapi3.net/20211122_column/
カレーですよ4722(大月真木 真木アート・クラフト市)Masala Sangamとアーヴェント。
https://hapi3.net/20211222_curry/
【アウトドア】大月真木 雁ヶ腹摺山 大峠 渓流でちょいと野点。
https://hapi3.net/20211223_column/
カレーですよ4825(山梨都留市九鬼山 カフェ 織水)古い水道橋とリノベーションカフェ。